信じがたいことですが、Googleで「Webディレクター」と検索すると、「いらない」とか「無能」という関連ワードが出てきます。
他にも「使えない」「嫌い」といった言葉まで…。
よくよく調べて見ると、こういったキーワードで記事を書いている方も意外と多い。

もうやめて〜。
ただ実際にそう言われてもおかしくないかも…?と思えてしまうWebディレクターがいるのも、どうやら事実のようです。
何を隠そう僕自身も、そっちの部類だったかも、なんて今振り返っています。
現役のWebディレクターさんだけでなく、これから目指す方にとっては、あまり良い傾向ではないですよね。
そんな風に思われないためにどうすればいいのか?
僕自身もたくさんの失敗を重ねてきたので、もし「Webディレクターはいらない」と思われていたとしたら、何が原因なのか?どうすれば良いのか?
特に未経験でWebディレクターを目指す方に、少しでも役立つ情報をお伝えしたいと考えて、この記事を書きました。
Webディレクターはいらないと言われる原因【未経験者に贈る失敗談】

「Webディレクターはいらない」と言わせないためにはどうすればいいでしょうか?
結論から言えば「場数を踏むしかない」に尽きます。
でも特に未経験者の方、経験が浅い方に対して、こんな一言で終わらせるわけにはいかないので、僕が実際に体験した失敗談をご紹介していきます。
思い出すだけで吐き気を催す生々しい数々の失敗とともに、原因と対策も挙げてみましたので、反面教師として学んでいただけたらうれしいです。

リアル過ぎて「あるある」な話では無い部分もあるけど、生々しい体験談を元にしているので、きっと役に立つことはあるんだよ。
失敗談①|作業がどんどん遅れて納期ギリギリになって焦る

■リアルな失敗談
僕はWebディレクター未経験の状態でWeb業界に飛び込んだので、Web制作の工程の全体像が頭に入っていない状態でディレクションをしていました。
普通こんなことはありえないでしょうけど、僕の場合はそれが現実でした。
正確に言えば「頭ではわかっていた」のですが、ピンと来ていなかったんですね。
- 次に何をすればいいのかわからない
- 注意すべきポイントがわからない
- 各工程にどれくらいの工数がかかるか見えない
こういう状態でしたので、工数の見積もりが曖昧で、各工程でどんどん遅れが生じていき、納期が迫ってくるとバタバタしだす始末。
そうなるとデザイナーとコーダーは残業続きになって疲れとストレスが溜まり、それを見ている僕自身も辛い気分になっていく。
■原因
わざわざ書くまでもありませんが、原因はこの二つです。
- Web制作の工程が把握しきれていない
- 細かい作業の見通しが甘い
■対策
- 納期に余裕を持っておく
- 見積もった工数に、さらに少し多めに(8hとか)上乗せする
■注意点
多めの工数を見積もることが現実的でない場合もあるので注意が必要ですね。
その納期で顧客に納得してもらえるように調整できればベストかと思います。
ただし、自社のリソース(予算、人員)に余裕がないと難しい。
だらだら間延びして工数オーバー、制作予算オーバーしないよう注意が必要です。
失敗談②|デザイン案3回出しなおした挙句、コーディングの難易度が上がる

■リアルな失敗談
とある教育機関のコーポレートサイトリニューアル案件での失敗談。
デザイン案を数パターン提出し「じゃあAパターンでいきましょう」となってデザイン制作に進み、再度顧客に見てもらった時の反応は「いや〜なんかイメージと違うんですよね」。
デザイン案を提出した時には意思決定者である経営者は不在だったのですね。
多少の修正であればディレクション費などでカバーできますが、大幅な手直しとなると工数・予算面で影響が出ます。
その後顧客から、印刷したデザイン案の紙の隙間を埋め尽くすように、綺麗でカラフルな背景が描かれたものが送られてきて「こんなイメージにしたい」と言われました。
HTMLやCSSでは実現が難しいものでした。
画像を多用すればページの表示スピードにも影響したり、コーディングでレスポンシブ対応する時に微妙なズレが発生したりで、調整が非常に難しくなりますよね。
当時の僕はうまく対応ができず、結局その要望に近いデザインで進めることに。
予算が少ないこともあり、最終的には利益どころか若干の赤字となってしまいました。
■原因
Web制作のプロとして、正しく導いてあげられなかったことが最大の原因。
誤解を恐れずにいえば顧客は「Web制作の素人」であって、Webディレクターは「Web制作のプロ」です。
顧客がWebサイトの仕組みや特性を知らないのは当然。
「ああしたい」「こうしたい」と言われるがままに対応しては、技術的に顧客のイメージ通りに仕上げられないケースも起きてきます。
それだけではなく制作現場がひっぱくするし、クリエイターからの視線がきつくなるだけです。
■対策
- 意思決定者が誰かを把握しておく
- その上で、顧客とのミーティング後はすぐに議事録などを送って合意形成
- 大幅な作業の手戻りは別途費用がかかることを最初に伝えておく
- Webの特性(画面幅の制限、閲覧する端末の種類の多さなど)を踏まえて、実現が難しい場合はしっかり説明して納得してもらう
■注意点
あまりに「別途費用、べっとひよう、ベットヒヨウ」と言うと、顧客からの印象を悪くしかねません。

別途費用別途費用別途費用別途費用…。
すごくイメージ悪いんだよ。
ベストな方法はやはり、そもそも大幅な修正が出ないようにすること。
そのためにはキックオフの段階で、顧客のイメージをしっかり把握する必要がありますね。
失敗談③|設計に関わる問題を後回し、後々に中途半端な決断を下し、みんなが不幸になる

■リアルな失敗談
デザイナーが判断できない問題に直面し、その度に作業が停滞することが頻繁にありました。
例えば「ここにボタンがあるけど、こっちの方がいいのでは?」という疑問が生じた時、他のデザインや工数、スケジュールなどに影響が出るケース。
僕としてはワイヤーフレームを作成して、顧客にもOKをもらっているのですが、ほとんどの場合、デザイナーからの指摘は正しかったんですね。
当時の僕は複数の案件を抱えていて「後で検討します」と先送りにすることが多かったです。
デザイナーもその問題を後回しにせざるを得なくなり、他の作業に取り掛かるしかありません。
忙しさにかまけて先送りを続けた結果「あれ、どうなっていますか?」と聞かれて「うっ」となり、その場しのぎの指示を出す。
納品直前になってその問題が浮き彫りになり、顧客もデザイナーもコーダーも、関わる全員が嫌な思いをするという結末です。
■原因
ワイヤーフレームを作ってはいたものの、UI/UX的な観点を持っていなかったため、ワイヤーとして重要な機能を果たしていなかったのが最大の原因です。
- 情報設計がゆるゆる
- いきなりワイヤーを作り出していた
- ペルソナやカスタマージャーニーマップを作っていなかった
■対策
- 設計には十分な時間をかける
■注意点
対策としては上記に尽きると思います。
ただ顧客の予算が少なく設計に必要な工数を取れない場合もあります。
そういった時は、テンプレート等で対応する選択肢もありです。
結論:Webディレクターは必要です

個人でWeb制作を一括して受ける場合を除いて、多くの場合はチームで制作を進めます。
デザインはWebデザイナー、コーディングはコーダーが担当するもの。
それぞれが自分の役割に集中することで、各工程における制作物のクオリティが上がるはずです。
制作者が質の高い「良い仕事」をしてもらうためにマネジメントをするのがWebディレクターの役割と言えます。
プロジェクトの成功とは単にWebサイトを完成させることではなく、顧客の目標達成に貢献すること、さらにはエンドユーザーのニーズに応えることです。
そのためには制作者が自分の能力を最大限に発揮する必要があり、人・時間・金を適切にコントロールする人としてWebディレクターが必要ということ。
つまりWebディレクターという存在は、チームで一つのプロジェクトを成功に導くためには欠かせない存在だと言えますね。
「Webディレクター いらない」という関連ワードがこの世からなくなることを祈りながら、今回の記事を終えたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
未経験者の方、これから目指す方のお役に立てたら嬉しい限りです。
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